恋と盲目

しもに

第1話

加賀美かがみ まこと、ベッドで寝ている。春日部かすかべ こと、部屋に入ってベッドの傍に寄る。


琴:おはよ。

真:…おはよう。

琴:もう7時だよ。顔洗いに行こっか。

真:…いつもありがとう。

琴:気にしなくていいよ。

真:でも、僕は琴から何もかも貰ってるのに、何一つ返せてないから。

琴:真が気付いてないだけで、私も真から色んなもの貰ってるんだよ。…ほら、手出して。

真:…うん。


琴、真の手を取って洗面所へ行く。琴、水を出し、真、顔を洗う。


琴:はい、タオル。

真:ありがとう。

琴:よし、朝ご飯食べよっか。


琴、真の手を取ってリビングへ行く。キッチンにて、真の母、料理をしている。


母:琴ちゃん、おはよう。いつもありがとね。

琴:おはようございます。こちらこそ、いつも朝ご飯ありがとうございます。

母:そう言ってくれると助かるわ。真も、おはよう。

真:おはよう。

琴:真、ここに座って。いちごジャム塗っちゃうよ。

真:うん、ありがとう。

琴:はい。(トーストを手渡す)

真:いただきます。

琴:私もいただきます。


二人、食べ終えて歯磨き等も済ませた後、玄関にて、手を繋いだ状態。母、弁当を真のリュックに入れる。


琴:いってきます。

母:いってらっしゃい。気を付けてね。

琴:はい。

母:真、今日仕事長めだから夜ご飯遅いかも。

真:分かった。いってきます。


二人、手を繋いだまま登校。


琴:歩いて行ける高校で良かったよね。

真:うん、電車通学とかなら辞めてたかも。

琴:真頭いいんだから、そんなのもったいないね。

真:でも、もう前までみたいには勉強出来ないし、大学行くかも悩んでるよ。

琴:…そっか。それでも可能性が残ってるなら近所の学校で良かったよ。

真:そうだね。

琴:そう言えば、昨日「カインの末裔」読み終えたでしょ、今日は何読む?

真:あ、じゃあ「恩讐の彼方に」お願いしてもいい?

琴:もちろん。昼休み図書室寄ってから行くね。

真:ありがとう。

琴:私も真に読み聞かせるようになって純文学好きになってきたんだ。今まで小説と言ったらミステリーとかファンタジーとか、恋愛…とかばっかりだったんだけど。だから、私の方こそ、ありがと。


二人、そのまま話しながら学校に着き、琴、真を特別教室まで連れて行く。


琴:じゃあ休み時間にまた来るから。

真:ありがとう。時間無かったら無理しなくていいからね。

琴:うん。じゃあね。


真、生徒一人の教室で点字等を用いながら授業を受ける。琴、10分の休み時間のたびに真に会いに来る。昼休み、琴、本を持って特別教室に来た後、真と一緒に弁当を食べ終え、本を朗読する。20分程続けると、チャイムが鳴る。


琴:ここまでだね。

真:今日もありがとう。

琴:私、教室に戻るね。午後の授業も頑張って。

真:琴も頑張って。


二人、各々の教室で授業を受け、放課後、琴、特別教室に入る。


琴:真、お疲れ。帰ろっか。今日も家行って大丈夫?

真:うん。琴の方こそ毎日来てもらっちゃってるけど、大丈夫なの?

琴:家隣なんだし問題無いよ。ほら、行こ。


二人、手を繋いで下校。

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