通販で買ったスマホ

天川裕司

通販で買ったスマホ

タイトル:(仮)通販で買ったスマホ



▼登場人物

●三原昭雄(みはら てるお):男性。35歳。独身サラリーマン。

●八代奈々(やしろ なな):女性。29歳。普通のOLのイメージで。

●小牧俊介(こまき しゅんすけ):男性。40歳。犯罪の仲介人。

●犯罪組織:これは詳細が分からない形でも大丈夫です。一般的なイメージで。


▼場所設定

●昭雄の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージでOKです。

●街中:会社帰りの道や買い物へ行く途中の道など一般的なイメージで。

●図書館:こちらも一般的なイメージでお願い致します。。


NAは三原昭雄でよろしくお願い致します。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3364字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

皆さんはヤフオクやメルカリで何か買ったりする事ありますか?

最近でも通販はかなり利用されていて、

コンビニ以上に便利なツール…なんて言われる事もありますね。

でも通販は文字通り、相手の顔が見えません。

その相手がどんな人なのか?

また自分が買おうとしているその商品がどんな物なのか?

と言う事もよく分からないまま買ってしまうので、

それが理由でトラブルに巻き込まれる事もあるようです。



ト書き〈通販で携帯を買う〉


俺の名前は三原昭雄。

今年35歳になる独身サラリーマン。


俺は今都内のアパートに住んでおり、仕事はIT企業。

まぁ安月給だが何とか生活できている。


でもある時…


照雄「クッソ〜、ついに壊れちまったかなぁ」


それまで使っていた携帯がついに壊れてしまった。

仕方なく俺は新しい携帯を買う事にした。


照雄「でも新しいの買うのって金かかるしなぁ。使うアプリとかも決まってるし、臨時で使えれば良いわけだ」


となり、俺はわざわざショップまで買いに行かず、

とりあえずメルカリかヤフオクの通販で携帯を買う事にした。


会社の連絡交換はほとんどメールでしているから

電話はほとんど必要ない。

それに固定電話もあるし、いざって時はその電話で用が足りる。


照雄「おっ♪良いのあった♪」


ちょうど所望していた通りの携帯があったのでそれを注文。

結局、ヤフオクで買う事にして、

出品者と適当に連絡交換した後、先に金を払い、

商品が送られてくる事になった。


照雄「へっへ〜♪来た来た♪良いねぇ、新品同然じゃん」


送られてきたスマホはかなり新しいもので俺は満足。

でもこの後から、少し奇妙な展開が始まったのだ。


ト書き〈事件?〉


まず、その新しい携帯を買ってから数日後。


照雄「ん、あれ?LINE電話?」


まだ買ってからLINEを利用してなかったのに、

いきなりLINE電話がかかってきたのだ。


おそらく前のオーナーがLINEアプリを

インストールしたまま消去してなかったのか。


とりあえず出てみた。

すると…


奈々「あ、八代です!言われた300万、用意できましたので…」


いきなりそんな事を言ってくる。


照雄「…は、はあ?」


奈々「え?あ、あの、小牧さんじゃ…?あ、失礼いたしました、間違えました」


そう言ってすぐに電話は切れた。


照雄「なんだよ一体…」


いきなりかかってきたLINE電話。

まぁこんな事もあるのかなんて思ったけど、

その内容が奇妙。

「300万?」一体これは何のお金なのか?


そう思うと良からぬ妄想が膨れ上がり、

俺はとりあえずパソコンを起動し、

もう1度、ヤフオクの取引履歴を確認してみた。

すると…


照雄「え?マジかよ…」


俺が取引していた相手の名前は小牧俊介。

送られてきた郵便伝票も一応保管していたから

そこでも確認してみたが、やっぱり同じ名前。


取引中は全く気にも留めていなかったから

その名前を新しく、改めて知った気分だ。


そこで仮説を立ててみると、末恐ろしい妄想に辿り着いた。


照雄「ま、まさかな。そんな事ある筈…いや、でも…」


そう思っていた矢先。

テレビのニュースでやっぱり

信じられない事件に遭遇してしまったのだ。


まず、八代奈々という女性が水死体で池の中から発見された。


それから僅か数時間後に、別の場所で

小牧俊介という男性が、

人目のつかない公園の茂みから遺体で発見された。


照雄「ウ、ウソだろ…」


携帯を送ってきたあの小牧俊介と同一人物なのかどうかは分からない。


でもタイミングが良過ぎる。

八代とかいうあの女が言って来た「300万」。

あの金がもし犯罪絡みの金だったなら…。


でもはっきりとした確証は未だ無い。


それに女から電話がかかってきたからって、

それだけでどうなるわけでもないだろう。


俺はせっかく状態の良い携帯を買ったからと、

それを手放すのが惜しくなっていたのだ。


処分する事も考えたが、

でもやっぱりそんな事で手放すのは馬鹿馬鹿しい。


と言う事で、俺はもうその事を全部忘れる事にして、

それまでの自分の日常に返っていった。


ト書き〈第2の事件?〉


それから数週間後。

変わりなく、平穏な毎日が続いている。


その日、俺は休みだったので

アパートの部屋でずっと寝転んでいた。


でもその時、会社から家の電話に連絡が入り、

しなきゃならない事を思い出したので、

俺は家の鍵も部屋に置いたまま大急ぎで部屋を出た。


仕事で使うあれやこれやを買いに行かねばならず、

ちょっと図書館に寄って資料集めもしなきゃならなかった。


そこで資料集めをしていた時、ふとあの事が気になって、

また携帯を確認していた。


すると電話帳に一件だけ登録者の名前が書いてあり、

そこには「84677」とある。


照雄「は?」


と思いながらそのメモ書きのところを見てみると、

今まで気づかなかったサイトアドレスがあるのを確認。


照雄「なんだこれ?」


そのアドレスを辿ってみると、どうやら個人サイトのようだった。

アクセスしてすぐパスワード入力欄が表示され、

全くわからなかったので、

とりあえずそこにあった数字「84677」と入れてみた。

すると…


照雄「えっ、マジで?」


パスワードが合っていたようで、サイトを確認する事ができた。


でもその内容は知ってはならないものだった。

ゆすりたかりの経過が記されてあり、

殺害計画まで立てられていたようなそんな内容。


俺はアプリばかり使っていたので、

電話帳なんて1度も確認してなかったのだ。

でもまさかこんな秘密のようなものがあったなんて。


これはもう只事じゃないと思い、

俺はひとまず帰り、この携帯をすぐ処分しようと思った。


そしてまた急いでアパートまで帰り、

ドアの鍵を予備キーで開け、部屋に入り、

今もっている携帯を処分する前提で俺はまたパソコンを開き、

とりあえず新しい携帯を注文する事にした。


照雄「冗談じゃねぇぜ、なんでこんな事しなきゃならないんだよ俺が…」


そうしてる内に少し眠くなったので、寝る事にした。



解説〜


はい、いかがでしたか?

それでは簡単に解説します。


今回は初めからおかしな点があったので、

解る人にはすぐ解ったかなと思います。


そう、照雄が通販で買ったその携帯は

実はその少し前、犯罪に使われていたものでした。


被害者は八代奈々という女性。

何らかの理由でゆすりたかりの被害に遭っていたのでしょう。

そしてその仲介役として居たのが、

照雄が携帯を買った相手・小牧俊介でした。


ですが小牧は途中で怖くなったのか。

その携帯をすぐ処分して、自分もそこから足を洗おうと試みます。

あまり急いでたので、つい携帯の中に

犯罪の経過を確認できる情報を残してしまっていたのでしょうね。


ですが小牧の後ろについていた

犯罪組織がよほど大きなものだったのか、

小牧を逃さずそのまま殺害してしまいました。

そしてほぼ同時に被害者の八代奈々も殺害されます。


2人とも殺害された、というこの事実が既に、

犯罪組織が絡んでいた事を証明する事実になるでしょう。


そして後半からラストの場面。


照雄はその事は忘れて平穏な日々を送っていました。

そんなある日、会社から言われて買い物に出かけます。

そして用事で図書館にも向かいました。


この時、家の鍵を部屋に置いたまま…と言う事から、

部屋を出た時に鍵をかけていなかった事が分かるでしょうか。

これは部屋に戻った時、照雄が予備キーを

使っていた事でも分かると思います。


そして図書館で見つけてしまった秘密のサイトとその内容。

そのサイトを確認するのに必要だった

パスワード「84677」とは、そのまま音読みすると

八代奈々と言う文字が出てきませんか?


そう、そのサイトには八代奈々の殺害計画が記されてあり、

それを実行する筈の人物が小牧だったのです。


でも小牧はそれに従わなかったので、

犯罪組織に一網打尽の形で捉えられ、

2人とも殺害されてしまったと言う事でした。


さて、ここで部屋の鍵に話が戻りますが、

空いていた筈の部屋のドアが閉まっていた…と言う事は、

その鍵を閉めて中に誰か入っていた事が分かるでしょう。


犯人はおそらくそのまま部屋に侵入し、

それまでピッキングで部屋に入っていた時のクセでも出たのか

内側から鍵をかけていたのです。


その辺りの真相に気づき、照雄が少しでも

早く逃げる事が出来れば良いのですが。

もし侵入したのが犯罪組織のメンバーだとしたら口封じ?

でも寝てしまっては…

この後の展開は皆さんのご想像にお任せします。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=c8NvNXqV2K8

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

通販で買ったスマホ 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ