帰る場所が見つからない

天川裕司

帰る場所が見つからない

タイトル:帰る場所が見つからない


「あっ痛ぇ〜〜ツツツ、もう〜!これから仕事だってのに〜」

地下鉄の駅で電車に乗り込む私。

ヒールが引っかかって派手に転んでしまったが、

まぁ無難に1日の仕事を終わらすことができた。


「はぁ〜〜疲れた〜」

昼過ぎまでは足がじんじんしてたけど、

まぁなんとか治ってきた。

そしてアパートに戻ったのだが、

「キャアッ!え、誰?!」

男「……いや、あなたこそ誰…?」


表札は間違いなく私の名前。

部屋に戻ると、全く見知らぬ男が立っていた。


「すぐ出て行ってよ!警察呼ぶわよ!!」

男「…ちょ、何言ってるかわからないんだけど」

「わからないのはこっちよ!なに勝手に人の部屋に入ってきてんのよ!!」

男「いやちょっと待ってよ!」


こいつは自分の部屋だと言い張る。

冗談じゃない!

新手のストーカーか!?とか思った私は、

本当にその場で警察に電話した。


「すぐ来てください!変な男が私の部屋に居るんです!!」

警察「わかりました!すぐに向かいます!」

そしてずっと待っていたのだが、

一向にやって来ない警察。


男は男で大人しめのヤツだったのか、

逆上して私に突っ掛かって来るなんて事はしない。

だから目の前で警察を呼ぶ、

なんてこともできたのだが、

気持ち悪い事この上なし!


それに奇妙なまでにこの男の言動が不思議だったのは、

何度言ってもその場を退かないこと!

本当に自分の部屋だと何度も言って、

私の部屋から一向に出て行こうとしない。

自己肯定するにもほどがある!


「もう!!警察は何してんのよ!」

あれから30分。

ピザの宅配でももう来てるのに、

迅速に行動しなきゃならない警察が

一向にやって来ないとは一体どういうことだ!?

もう1度110番。


「何やってるんですか!?さっき電話したんですよ!」

警察「はい分かりました!すぐに向かいます!」

さっきも聞いたセリフをもう1度警察はほざき、

電話を切って待つことに。

でも結局、警察はやって来なかった。


「…なんで……?」

男はじーっと私を見てるだけ。そして、

男「……あの、悪いこと言いませんから、出てってもらえますか?じゃないと本当に、僕が警察を呼びますよ?」

「…はあ?」

もう1度表札を見ても私の名前。


ううん、そんなの見なくても

ここが私の部屋だと言うのは

今までずっと帰って来たこの部屋なんだから

わかってるに決まってる!


でもワケのわからないこの光景と流れに、

私はだんだん奇妙なものを感じ始めた。


まず「なんで警察が来ないの…」

「目の前のこの男は一体何者…?」

「私は今、何を体感してるの?」


(数日後)


それから数日が経ち、私はずっと自分の部屋を探してる。


どうやらあの部屋は、

本当に私の部屋じゃなく

あの男の持ち物だったようだ。


「私の部屋…私の家…私が帰るところ…一体どこにあるの…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=WnhPdOPCdIU

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帰る場所が見つからない 天川裕司 @tenkawayuji

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