第8話

「あれは! 姑獲鳥だ!!!」


パパは、ななが絵本と同じ位に大好きなものを思い出した。


それは妖怪でした。


故に、妖怪図鑑を買ってあげた時に、絵本と平行して図鑑を一枚一枚捲りながら、様々な妖怪の詳細も読み聞かせていたのだった。


だから、ななの絵本の世界に姑獲鳥が出てきても全然、不思議ではない訳だ。


特に姑獲鳥は、子供に関係するので、パパにとって印象に残っていた妖怪だったのだ。


「あの妖怪は、人の子供をさらって悪さをするやつなんだ!」


パパは、あの時の記憶が蘇った。


「あたいの事 良く知ってるじゃないか」


そう言って姑獲鳥は、目眩ましの妖術を使ってきた。


「うわぁっ!」


もろに喰らってしまうパパ。


しかし、幸いにもメガネをかけていたので致命傷は逃れた。


パパは、足元に転がっている石を拾い投げて応戦するが、ヒョイヒョイと軽く避けらてしまう。


「チッキショー! 為す術なしか……」


(いや待てよ、私の記憶が正しければ、姑獲鳥は火に弱いはずだ!)


パパは、火の気のものを探した。


(この世界には、マッチもライターもないのか……)


「これでも喰らえ!」


姑獲鳥は、更に妖術を使って糞のようなものを飛ばしてきた。


ぺちょっ!!!


「うわっ! なんだこれは?」


これも、もろに喰らってしまいパパのメガネが飛ばされた。


(くっそー! 臭くてメンタルもやられてきた…… 万事休すか……)


意気消沈したパパは、飛ばされたメガネを見て閃いた。


パパは、メガネを拾い上げ太陽にかざし、虫眼鏡をヒントに太陽光を集めて姑獲鳥に当てた。


「ウギャァ!!!」


パパの目論見は、見事に的中した。


姑獲鳥は、断末魔の雄叫びを上げ炎に包まれて消えていった。

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