第4話

「いっ…… いちごちゃん? なっなっ何ものなんだ?」


現状を把握出来ず、プチパニック状態のまま返答するパパ。


「いちごちゃんじゃなくて、いちごくんだよ!」


少しキレ気味にみかんが言ってきた。


「ちゃんでもくんでも一緒だろ!」


パパもキレ気味に返した。


「違うよ! いちごくんの仲間は、女峰や紅ほっぺ、とちおとめ、やよい姫と言ったように一見、女の子のようなイメージだけど、実は男の子なんだよ」


「本当に?」


「本当だよ、女性的な名前をつける事によって、より親しみやすさを持って貰う為にと、願いを込めて生産者が考えたのさ」


「へーー そうだったんだ」


「ちなみに、私は愛媛みかんなのでイメージ通り女の子だけどね」


「それじゃあ、みかんちゃんだね」


頷きながら、ぎこちないウインクをするみかん。


「兎に角、いちごくん見かけなかった?」


「見かけるも何も、クレヨンが鼻にぶっ刺さってクシャミをしたら、一瞬意識が飛んで気づいたらここに居たから……」


「言っている意味がよく分からないけど、一緒に探してくれる?」


「別にいいけど……」


みかんちゃんの言い方が引っかかるパパであったが、ここはひとつ協力する事にした。


「いちごくーーん!」


そして、みかんちゃんがいちごくんを一生懸命探している姿を見てーーーー


ようやく全てを理解し、現状を把握する事が出来た。


パパは今、紛れもなくななの描いた絵本の中の世界に居ると言う事を…………。

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