第93話

「忘れさせないっ、」



包んでいたのは香りではなく彼自身だった



息を切らして私を包みこむ彼は、私を離すまいと力強く抱きしめている



「…どうして?どうしてここに?」



学は何も言わず只、私を抱きしめる



地面に膝を付きスーツが汚れるのも気にする事無く



暫くして少し落ち着いた学の腕の力が弱まった



でも、私を離す事はなく私の肩に額を押し当て何度も呼吸を繰り返す



そして・・・



「佐紀…佐紀…」と、うわ言の様に呟いてる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る