第91話

「佐紀、もう何日目?今日も裏から帰る?」



「…うん。ごめんね」



「私は良いけど…アイツ何考えてんのよ」



「……」



私が学の元を去ってから今日で二週間



彼は月曜から金曜の就業時間に私の会社の前に必ず居る。朝も夕方も・・・



私は彼から逃げ続けてる



もう、彼と会いたくなくて・・・



もう、彼に傷付けられたくなくて・・・



もう、彼を忘れたくて・・・



「私が話、聞いてくる」



突然、若葉が足を進める



「ちょ、ちょっと待って」



私は若葉を引きとめた



「考えてみたら佐紀が逃げる事ないでしょ?悪いのはアイツなんだから」



「……」



「ここで、はっきりさせなきゃ佐紀だって忘れる事なんて出来ないでしょ」



そう言い捨てて若葉は学へと歩いて行ってしまった



私はその場に居るのが苦しくて裏から会社を後にした

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