第19話

その言葉にハッとして手を離すと、そこには明らかに俺が強く握った痕



南は少し顔を歪め腕を擦る



「…それで、話しは何ですか?」



淡々とした口調



「今更…いいえ、今までも話す事なんて何もなかったと思うんですけど」



「・・・」



「お互いに話す事も、話したい事も、話さなければいけない事も、何も・・・」



「・・・」



「ふぅ・・・帰ります。何も話さないんでしょ?」



そう言うとソファーから立ち上がる



「ダメだ」



俺は赤くなった腕を避け手を握る



「…いい加減にして下さい。一体、何がしたいんですか?『ダメだ』それしか言う事はないんでしょ?そんなの聞きたくもない。離してッ」



俺の手を払い除けようと腕を振る



俺はそのまま腕を引き寄せ



「ダメだ!!・・・離れるな!!」



咄嗟に口からそんな言葉が出た

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