第18話

仕方なく…そんな感じで車から降りる南



俺は何故だか掴んだ腕を離す事が出来ずに、そのままエントランスを歩く



「腕、離して下さい」



「・・・」



答える事無くエレベーターのボタンを押す



「逃げたりしませんから、離して下さい」



「ダメだ」



「そればっか…。話したい事って『ダメだ』・・・ですか?」



「・・・」



エレベーターに乗っても離す事無く、部屋の鍵を開ける時ですら片手で開けた



俺は何に怯えているんだ



南を玄関に押し入れ、鍵を閉めた



靴を脱ぐ時すら離せない



廊下、リビング、ソファー、腕を掴んだままだ



「痛いから、離して下さい」

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