第72話

玄関に入ると嫌でも目に入る1枚のパネル



紫音はそれに釘づけのようだ



「あっ紫音!…いらっしゃい」



彩ちゃんのお出迎えも聞こえてない



「紫音?吃驚した?」



コクコクと何度も頷き



「うわぁ~」



と声を上げた



「紫音?」



俺は紫音の声に驚き覗き込む



そんな俺に気付き



「渉!!彩さんと智さん…キスしてる」



そう玄関のパネルには結婚式の智たちのキスを最大限に引き伸ばした写真



それが飾ってある



「//恥ずかしいんだけど…いくら言っても外してくれないの・・・」



「外しちゃダメ…。凄く綺麗・・・」



「そうかなぁ?」



「うん。智さん・・・彩さんの事、凄く大好きなの。だから、このまま…」



「うん。このままね!」



紫音?普通に話せてるよ?



俺は泣きそうになりながら紫音を見つめ続けた



「あっ・・・2人とも入って」



俺は泣きそうな自分を隠し



「たっだいま~」



いつもと変わらぬ態度をする



「「「おっかえり」」」



中からはいつもの出迎え



「さっ紫音!行こう」



紫音の手を引きみんなの所へ向かった

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