第10話 反面教師

凛子は晴れて無事に退院したのだったが、その間に派遣終了が確定しまっていて、かなり気に入った会社だったのに辞めざる得なくなってしまった。


また就活をしなければならなくなったのだ。


派遣会社にお願いして面接を何社も受けて、やっと受かって就職しても、また酷い罵声を浴びさせられたりして、どこに行ってもまた人間関係の苦悩に悩まされた。


さらに凛子の母親は凛子が仕事をしていないと、物凄く機嫌が悪いのだ。毎日、凛子は母にまた罵声を、浴びさせられる日々を送っていた。



あちこちで板挟みの凛子だった。



凛子は物心ついた頃から、母親のような人間、女性に成りたくないと反面教師にして生きて来てる。


その事で母親が本来持っている女性特有な性質等を、物凄く毛嫌いしている所があった。なので凛子は母親に似た要素を、感じた女性に、出会うと心の中では受け入れがたい自分では居たのだ。


そういう所が凛子が職場やらで、女性とうまく行かない原因になっているんじゃあないかと思う事はあった。


女性に限らず、男性でもそうだった。凛子はそういう感情を表に出してないつもりでいたが、相手に感じさせていたのかもしれない



凛子の中で母親に対して反面教師である事が、色んなそのような試練を湧き起こしているに違いないと、思いながらもひとりで出来る事はもうすべてやり終えた感じだった。



なので平穏な人生を送るには誰かの力が、必要だと思い詰める所まで来ていた。



その時、凛子はその誰かを想像してみた。



それは宇宙だった



これはもう宇宙に力を貸してもらうほかないのかも知れない。


でもそれを宇宙になんて伝えたらいいんだろう…。


凛子はずっとずっと考えていた。


するとその思いが通じたのか、たまたま買い物をしていると、宇宙が目の前にやってきた。



『凛ちゃん、お久しぶり~』



えっ?と凛子は驚いた私の心の声が、聞こえたわけじゃあないよね?と思いながら…。


『こちらこそ 宇宙、お久しぶり~。こんな所で会えるなんて

嬉しいよぉ~』とサラっと凛子は返答をした。



宇宙は『僕は凛ちゃんに出逢えないかな?って思ってたよぉ~』といつもの屈託のない笑顔で言ってきた。


凛子も宇宙のようにもっと素直に思った気持ちを、伝えられたらなぁ~って思った。


さすがにこの場所ではお願い出来る内容ではないので、なんでもない他愛もない話を色々、クスクス笑いながら話して帰った。



宇宙と話すとなんか元気が出る。



そんなある日、宇宙から電話があり

『凛ちゃんは僕の事が好きだよね?』っていきなり言われて。


宇宙はいきなり何を言って来てるんだろう…。凛子は突然の言葉に

なんて答えていいのか分からず…。


『好きは好きだけど、恋愛対象の好きではないよ~。だけど宇宙が好きだと感じてるのだとしたら、もしかして?宇宙の方が私の事を好きって事?』と真面目に真っ直ぐに答えると…。さっきまでテンション高くノリのある明るい声の宇宙が、かなり不機嫌そうになって『うぬぼれんなよ!!』と怒鳴って電話を切られてしまった。



凛子は久し振りにあちゃー。また地雷を踏んでしまったと反省したのでした。



これじゃあ宇宙に力を貸してもらえる事は、なかなか難しいなと思った。



宇宙は本当に今まで出逢った男性の中で、一番わかりやすいようで複雑な人ではある。



近くなれて仲良く出来てるかなって思っていると、またたちまち今回のように、宇宙が一方的に怒って去ってしまう。



もう二度と会えなくなってしまうんだろうか?って思っていると、ひょんと現れたり、連絡くれたりする。



宇宙とは付き合ってもいないのに、まるで恋愛をしているような、

離れたり、また再会したりを繰り返している。



一方的に怒って去っていくのも決まって、宇宙の方で再会のきっかけを、作って来るのも宇宙の方なのだ。



またひょんと再会出来るでしょ…と凛子は最近は、気長に思えるようにまでなれて来ていた。



そんな宇宙との事等を葛藤していると、同時進行に凛子は別の問題に、直面しようとしていて、凛子自身もまだ分かっていない。

これが人生の転機になる出来事になろうとは、思ってもみなかったのだ。



















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