第6話 ふたりの青春

わぁ~。

今日の青空はとっても清み切って気持ちいい~。

凛子は車を運転しながらそう叫んでいた。


今日は仕事が休みなので、スーパーに買い物に出掛け、今は帰りなのだ。



ふと何気に…宇宙の家の近くを車で通ってみることにした。


確か…この辺りだったようなぁ…。

凛子は方向音痴なので、不安になりながら、宇宙の家を探した。



あっ~!宇宙の車だぁ…。

思わず…ラインにメッセージをを入れてみる。


『凛子です。休日の所すみません。さっき、たまたま出かけてて、宇宙の家の近くを通ったら、車があったので、よかったら、お天気もいいので

今からドライブでもしませんか?』


我ながら…凛子にしては積極的な誘いの文面をストレートに送ったなぁ~って思いながら…。宇宙からの返事を、ドキドキしながら待っていた。



宇宙はいきなりの凛子からお誘いに、嬉しくてたまらなかった。いつか休みの日に二人で出掛けてみたいと思っていたからだ。


『ピロリ~ピロリ~』

凛子の着信音が鳴った。

あっ、宇宙からだ…ドキドキする…。


宇宙:

『凛ちゃんおはよう~。ほんと今日はとっても天気がいいよね~。

僕の家の近くを通ってくれたの?

うれしいなぁ~。

ぜひ、今から一緒にドライブしましょう。

それで、僕の行きたい所が

あるんだけど…

そこでもいいかなぁ?』


『ピロリ~ピロリ~』

 

凛ちゃん、返事早っ!


凛子:

『はい、ありがとうございます。宇宙の行きたい所に行ってみたいです。どこで待ち合わせしますか?』

 


 ―そんなテンポのいい凛ちゃんを

 好きだわ~と宇宙は思った―




待ち合わせのコンビニで、ふたりでお昼ご飯のお弁当などを買い込んで、宇宙の行きたい場所に、二台の車で向かった。


なんかほんと二人でお弁当とか買って、まるでピクニック気分って感じで、日ごろの慌ただしさとは、全く違ったのんびりしたこの時間が、とても凛子には幸せに感じられた。



宇宙とは大人同士なのに、まるで子供同士が草原の中のお花畑で、遊んでいる感覚なのはある。



初めて宇宙と職場で話した時も、その光景が目に浮かんだのだ。



宇宙の行きたい所ってどんなところなんだろう?

凛子は楽しみで楽しみで、ワクワクしていた。



住宅街を通りすぎ、少し山道を登り始め、橋が見えてきた。今まで凛子が来た事がない方面なので、どんな景色が見えるのか?全く想像がつかなかった。



凛子は橋を渡り始めた瞬間、あまりの絶景に感動した。

なんと青々とした海なんだろう。橋の両サイドが海と島に

囲まれている。



今日は天気も最高なので、いつもよりも海も、コバルトブルーに輝いている。窓を少し開けてみた。なんとも気持ちのいい風を感じられて、日ごろの疲れが一気に飛んでいく感じだった。



宇宙といると凛子が見たこともない世界、感情を与えてもらえる。

まさに感動の連続と言ったらいいのか、慶びと言った方がいいのか、とにかく高鳴る鼓動が響き渡るのだ。



あぁ~語彙力ないから、この気持ちが上手く表現できなくてもどかしい…。



今日は宇宙に勇気だして誘ってよかったと凛子は思った。


途中、宇宙が気を利かせてくれて、トイレ休憩をしてくれた。その時、トイレから凛子が出て来た時に…。


宇宙:『凛ちゃんみて〜』


凛子:『なぁに?』


宇宙:『あのね、この木の枝を見て〜。』


凛子:『どの枝?』


宇宙:『これだよ〜。この枝の所に2つ色違いの花が咲いてるでしょ?』


凛子:『わぁ〜凄い。ピンクと白の花が一つの枝から咲いてるのね〜珍しいねぇ。』


宇宙:『僕と、凛ちゃんみたいだね』


凛子:『うん!ほんとだ。仲良しだね〜』


なんて2人でほのぼのおしゃべりを楽しんだのだった。

やっぱり、宇宙ってロマンチストだなぁ〜って凛子は思ったのだった。


どうやら目的地に着いたようだ。


宇宙は今日の為にレジャーシートを、用意してくれていて、ふたりでそれに座ることにした。


凛子はいつも常備している、日傘を日よけに使う事にした。

ふたりで何気に持ちよった物で、ふたりオリジナルの

ビーチパラソル風が出来た。


とっても砂浜のキレイな海。

どうやらここが宇宙の一押しの場所らしい。

嫌な事があると、宇宙はこの海に来るらしい。

結構、ひとり時間をこうやって過ごしてる事も多く、

読書が好きみたいで、よく本も読んだりしているみたい。



さらに宇宙(そら)はやっぱり、宇宙(うちゅう)って世界にも興味が深いみたいで

宇宙の話をたくさんしてくれた。

宇宙の始まりはビックバーンという爆発によって、生まれたんだよ~って。



凛子は全く宇宙(うちゅう)ってモノに、興味を持っていなかったので、初めて聞く話ばかりで、とても新鮮だった。



ただゆっくり話を聞いていると、宇宙(そら)が宇宙(うちゅう)って世界に興味を持って勉強したのは、人間関係に苦悩することが多かった為、惑星が誕生する所から、知って行こうとした。



―ふたりの共通点を感じれて

 とても凛子はうれしかった―



まずは人の心理というものを、知っていく事から始めようっと、思ったのがきっかけで凛子は心理学を勉強することで、上手く行かない人間関係の仕組みを、学習して来ているのだ。



宇宙もかなり生きづらい人生を生きて来ているのだと

初めて知った。

以前よりも宇宙の事をまた少し知ることが出来て、凛子はうれしかった。



宇宙にものすごく惹かれていくのは、そういう事なのかも

しれないと思った。

宇宙はとっても子供のように、無邪気で明るい一面もあれば何か…奥深くにまだ凛子が知らない色々な事が、眠ってそうな感じがするので、ミステリアスな一面もある気はしている。



凛子はひとり瞑想にふけ、宇宙は一生懸命…。

宇宙(うちゅう)という世界の話に夢中だ…。

凛子は宇宙が言ってた…

『第四の扉』の欠片が少し見えてきたような気がした。


宇宙もやはり

『魂のふたごちゃん』を求めているのかも知れないと思った。



そんな楽しい一日を凛子は振り返りながら、宇宙の話をうんうんと、うなづきながら聞いていた。



宇宙とは以前よりも、もっと近くなれた気がして心地よかった。

これからもふたりで、ゆっくり仲良くなれたらいいなぁ~って、思えた海での時間だった。


まさか…この数週間後に、衝撃の出来事が起きるとは、その時の凛子には、全く想像もついてはいなかったのだ…。












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