第30話
満さんが「約束は約束だ。どこに行きたい」と聞かれた。
「栞さんも一緒がいいな」というと、「栞も一緒に行くらしいからいいだろう」と言われた俺が行ってみたいところは、ある山の名前を口にした。
そこは俺の思い出の場所だった。そこにいった時に俺は決心した。ここは俺の弟が眠る墓だったのだ。弟だけは俺を守ってくれたから、勇気をだして話すことにした。「満さん、ここは俺の大好きな弟の墓なんです。俺は3人兄弟の真ん中ですよ。しかも両親はいません。弟が生まれてから病気で亡くなったんです。小さい頃スバル兄ちゃんは優しくて俺と弟思いの兄貴だったんです。そんなスバル兄ちゃんが変わったのは、スバルにいちゃんがお酒を呑み始めたごろの事です。スバル兄ちゃんはアルコールが入ったら暴力をしてきて、酒がきれるとしたことの罪悪感で、俺たちに謝るんです。そんなある日の事でした。いつものようにお酒を呑んで帰ってきたスバル兄ちゃんは俺の弟を暴力で殺してしまったんです。それを知られてはいけないと思ったスバル兄ちゃんは、弟をこの山に埋めたんです。俺の今いるあたりに。俺にスバル兄ちゃんはこう言いました。「これからはもうお酒は飲まないようにする」と、それを聞いた俺はスバル兄ちゃんを信じることにしました。でもスバル兄ちゃんはまた呑んでは俺に暴力を振るうんですといったら、「アルコールかあ。彩斗や隼人の親父もアルコール依存症でね」というと「昔、彩斗が、親を殺そうとしたことがあるんだ。それを止めたけどな。今は親父も更生してカフェで働いてるけどな」という。栞さんが「話してくれてありがとう」という。俺は泣き崩れた。満さんが抱きしめてくれていた。「話してくれてありがとう。お前を守ってやるからな」というと、この人は信じても大丈夫だと思った。
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