バカと天才は紙一重

第77話

「でも、太郎さんの舞台度胸は凄いものがある」




「あの空気感と雰囲気の中で、全く動揺せずに最後までやり遂げるんだもの」




「しかも、明らかに冷やかしの“アンコール”なのに本気で受け取るんだもの」



「あれは、真似出来ない」




「いや、待てよ、それを気づいていながらあえてやるのか、気づいていないのかによっては随分差があるぞぉ」




「お笑いで言えば、“笑わせている”のと、“笑われている”違い」




「一見、同じ笑いのようだが、月とスッポン位違う」




「笑われているのは俗に言う天然で、笑わせているのは、技術ですから」




「となると太郎さんは、どっちだ?」




「考えるまでも無いか…」




「でも、バカと天才は紙一重って言う言葉もあるし」




「そうすると、太郎さんは紙一重で…」



「もう考えるのは止めよう…」




そう長々と心の中で呟く次郎であった。

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