名司会者

第74話

ジャカジャ~ン!




「サンキュー!」




「イエーイ!」




ようやく拷問が終わった。




色々な意味で…。




次郎は、よだれを垂らしながら失神している。




そこへー




酔っ払った新郎の友達が、悪乗りをして有ろう事か「アンコール!」と叫び出した。




一瞬、結婚式場が揺れる位、親族達がどよめいた。




しかし、そんなリアクション、この男には関係無かった。




「よし!O.K!」




「イエーイ!」




「もう一丁行くぜぇ!」




ストープッ!!!!



そこへ、会場の空気と進行時間を読んだ司会者が上手く制止をかけ、難を逃れた。




拷問から解放されたとばかりに、一斉に胸をなで下ろす親族達。




「え~アンコールがかかったのに残念…」



渋々引き上げる太郎であった。




白目を向き、よだれを垂らし、痙攣している次郎を担いで、舞台を後にした。




ついでに、「アンコール」と叫んだ新郎の友人も、親族達の冷たい目に耐えきれず会場を後にした。

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