悲劇のヒーロー

「…わかったよ…」

「あんた格好いいよ…」

マウントポジションを解く幸せ者。

「俺も昔は純粋にやってたけど…」

「彼女にはフラれるし、バイト先はクビになるし、実家は追い出されるし…」

「俺なんか生きてても、良いことなんて何もないんだよ！」

「甘ったれるな！」

「みんな一緒だよ！」

「理由は違えど、人それぞれ様々な立場で、色々大変なものを背負いながら生きているんだよ！」

「自分だけが特別だと思うな！」

「悲劇のヒーローぶるのもいい加減にしろ！」

「…。」

「俺だってな、弟には先に結婚されるし、世間からは変わり者扱いされ、キツい肉体労働で必至に食いつなぐ毎日を送っているんだ！」

「…。」

「しかも水虫でイボ痔で脱腸で頭も薄くなって来たし、脇も臭いし足も臭いし、それに最近アソコの元気も良くないし…」

「おまけにー」

「もういいです！」

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