熱い言葉

第54話

実は、幸せ者は柔道の有段者だったのである。




すかさず、マウントポジションをとる幸せ者。




逃れようと暴れる男。




しかし、ガッチリ決まったマウントポジションからは逃れられない。




「いい加減にしろ!」




「離せよ!」




「楽器を大切にするか!」




「お前には関係ねぇだろ!」




「関係ある!音楽を愛する同志として!」




「何?あんた音楽やってるのか?」




「ああ!食えないミュージシャンやってるよ!」




「…。」




「音楽ってのはなぁ、人に生きる勇気と希望を与えるものなんだよ!」




「なのに、お前の音楽は悲しみと絶望に満ち溢れているんだよ!」




「…。」




「お前のやっているのは音楽じねぇ!」



「ただの騒音だ!」

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