第8話

彼女の名は


寿 姫子


名前負けしていない所が何故か悔しいですが…


俺は改めて客間に通され、出された紅茶に口をつけていた。


いかにも高そうなティーカップに、どこぞかの有名な茶葉だろう事は、何となーーくわかった。


「先程は姫様が大変失礼を…」


そう、俺に謝罪してきたのは、『じー』と呼ばれる人だった。


肝心の姫はもう、出掛けた後で…


「相馬様、相馬様の寛大なお心で姫様をお許し願えますでしょうか…」


深々頭を下げている『じー』が不敏に思え


「先程の事は、僕は気にしていませんから、どうぞその頭を上げてください」


やっと頭を上げたじーが


「ご覧の通り姫様はあんな風になってしまって…昨年姫様の婚約者様が交通事故で、この世を去られてから…」


えっ…


ドラマの様な展開に俺は身をこわばらせた。

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