第2話

彼がまたまどろみの中へと引き入れられるタイミングで、藤堂の家に来客があった。


「お祖父様、ご無沙汰しております…」


「おお!香か…元気じゃったか!ほら、そんな所で突っ立っていないで中へ入らんか…


手には大きな紙袋を下げている。


客間に通された香は、隣の仏間へ行き祖母へのお線香を立てた。


客間の畳の上に絨毯を引きその上にアンティークなテーブルと椅子ソファーがある。


あの時から、この屋敷には来ては居なかったから、二年以上来ていない。


その前は、何十年と離れていたのだから、それに比べると…


「あの…」


キョロキョロと家の中を見渡しながら、本来約束した時間より少し早く着いてしまったので、言い出せずにいると。


「あいつか…」


離れの方を見ながら


「まだ起きてこないだろな…」


呆れている様な、悲しんでいる様な祖父の顔をみた。

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