第65話

八雲side



「なんで、ハイネはそんな格好で寝てたの?11月だよ?」




麻也が聞いてくる。




「それは聞いても、絶対答えなかったな…」




『忘れた』の一点張りだった。




「それから、説教して…」


「説教!?」



「八雲の説教!?」



「「「「「長かったろうに…」」」」」





竜ちゃん、桂に麻也、蓮が一斉にヤレヤレとため息をつく。




「うるせぇ」




まぁ、説教と言う名の暴言に近かった気がする…。




『犯してほしいのか?』


『ドバカが…』



『自分を大事にしない奴に生きる価値はねぇ』




とか…な。




それでも、ハイネは俺が掛けてやった上着をギュッと握りしめ、ずっとニコニコして聞いてた。




幼い幼い、限りなく無垢な笑顔。





今思えば、"心配"してもらえた。


"話しかけて"くれた。



ってことが嬉しかったんだろうな。




「抱っこして、当時住んでた家に連れて…」



「抱っこ!!」



「その頃からすでに!!」



「やっくん。…落ち着いて…」



「麻也?」




何に落ち着けと?

どうした?

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