第21話

桂side




「え!?"黒豹"の桂!?」



「え!?なんで、うちの高校の前に居るの!?」




女達の大きい甲高い声が徹夜明けの頭にガンガン響く。





あまりの不快さに舌打ちする。




一年近く、ずっと続いた"朝ごはん"の日課が初めて行われなかった………。


だから飯も食ってねえ。




アイツが作る飯でなけりゃあ、皆が揃わなけりゃあ…食う気もおきねぇ。



「桂~!!カッコいい~!!」


「ちょっ!声かけてみようよ!!」





壁に寄りかかる俺の周りに、女が集まってくる。




いつもの俺なら、手を振って愛想でも振り撒いただろうが。




大切な"妹"が拐われて、未だに行方がわからねぇのに、笑えるかよ。




『人を探してんだよ。邪魔だから、俺の前から退けろ』



「ひっっ……」



「……………っっっ!?!?」




俺の表情と声に、集まってた女達が、波がひくように、いっせいに引いた。





「やだぁ、桂ってば!!どーしたの??いつもの桂らしくないじゃん!!あたしで良ければ、話聞くし、憂さ晴らししたいなら付き合うよ??」

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