第18話

さっき握り締めようとして出来なかった、ソレ。



「返してっっ!!大事な物なの!!」



「ハッ!?大事!?こんな物が!?」




"黒豹"の証。


八雲さんがあたしのためだけに作ってくれた"宝物(もの)"




「やめてっっ!!!!」




取り返そうと、無我夢中で優さんに掴みかかれば、ホイッスルが絨毯の上に叩きつけられる。





転がるようにベッドから下りるのと、優さんが足を上げるのが同時で。





間に合えっっっっ!!!!





「うぁぁぁあっ」




激痛が全身に走る。




あたしの伸ばした手の方が少し早くて。




ホイッスルを両手で包み込んだ所で足が降り下ろされた。





ボキィィッッ!!!!




「くぁぁぁぁあ!!」




嫌な音が部屋中に響く。



「あーあ。何やってんだ」


「ぅぅぅあ…」



「胸くそ悪い」




ホイッスルを胸元に抱き寄せ、体を丸めるあたしに、感情の全くこもらない声で優さんは吐き捨て、部屋から出て行った。




ガチャン!!




そして外側から鍵をかけられる。

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