第17話
「髪切ったのか…。綺麗な長い髪だったのに」
何故ここに?
という、あたしの問いには答えてもらえず無表情で近づいてくる優さん。
怖い…。
この人は…。
「………!!??」
ないっっ!!
「前髪も…」
「っっっくぁっ!?」
大事なものがなくて、動揺した隙に前髪を鷲掴まれた。
ギリギリと容赦ない力に、頭皮が悲鳴をあげる。
「アイツと同じ」
痛くて、泣きたくないのに涙が溢れる。
アシンメトリーの前髪は八雲さんとお揃いで、桂が切ってくれた。
「なんで、ここに連れてきたかって?」
「うっ…」
すぐ目の前に優さんの顔。
喜色を浮かべた目が三日月の形に細まる。
冷たい、冷たい目。
「お前は、あの時から俺のもんだ」
「っっ!?なっ」
「俺のもんを取り返して何が悪い?」
「痛っっ」
更に手に力が込められ、我慢が出来ずに声が出た。
「こんな物まで、付けられやがって」
「あっっ!!」
あたしの髪から手を離した優さんの手には…………………………………………………………………………………………………………………………………ホイッスルがあった。
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