第6話

麻也side




ハイネが拐われてから二時間近く。




真中が目覚めたと連絡があって、俺と竜くんは病院の廊下を歩いてる。




消灯時間の過ぎてる病院は恐ろしいほど静かで、二人分の足音が異様に響く。




どこに居る?

怖い思いなんてしてないか?

痛いことなんてされてないか?




クソッッ!!!!

なんでっっ!!!!




「麻也」




足の止まった俺を竜くんが呼ぶ。




「足を止めるな。今は歩け」



「………っ、でもっ!!」



「悔いて足を止めれば、チビは帰ってくるのか?」



「っっ」




わかってる!!

わかってるよ!!

でもっっ…!!




知らず、下を向いてた顔を上げれば、真っ直ぐ前だけを見て歩く"総長"の姿。




非常灯と最小限の明かりだけの暗い廊下。




その中でハッキリ見えた竜くんの手。




「……っっ!!」




血が滴り落ちるほどキツく…キツく握りしめられた拳。

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