第2話
無表情で、凍えるほどの冷たい声で、そう言われた。
でもね。
でも。
名も顔も知らない、初対面のあたしに。
掛けてくれた上着も。
隣に座ってくれて貸してくれた肩も。
あたしを見下ろす、切れ長の綺麗な瞳も。
全てが暖かかったこと。
"あの日"のことは、空の色も寒さも全部覚えてる。
八雲さん。
貴方に初めて逢った、その日に。
その瞳に、その優しさに。
あたしは
恋に堕ちたのです。
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