第41話

『あたしは、みんなと同じように参加したいです!』


吐き出すように一気に言った。



「じゃ、決まりだな」



先生の満足そうな声に、背中を押されるような気がした。



「よかったね、美奏ちゃん」



振り向くと、さゆが横でガッツポーズを作っていた。














ガサガサ。



席替え恒例のクジ引き。




箱の中に収まっている紙切れの中から、慎重に1枚を選ぶ。



クジ引きに参加させてもらったことはあるけど、こんなに多い中から選ぶのは初めてだ。



今までは、一番前限定とかが精一杯だったから。




よし、これだ!




みんなと同じ条件でっていうのは、あたしが自分で言ったこと。




暗い廊下側が当たっても 文句を言うことはできない。




いいポジションがきますように!











『うわーい!


あったかいよー♥』




あたしの引いた席は、窓際の前から2番目だった。



「げぇ~、


あたし、廊下側だよぅ・・・」




寒がりな絵里が落胆の色を隠さずに言った。



『休み時間に遊びに来ればいいじゃん。


ね、さゆ?』



あたしは後ろを振り返り、さゆに同意を求める。




「そうだよ。


絵里ちゃんならいつでも大歓迎だし」




「サンキュー、2人とも愛してるわ!」



絵里の大胆なハグに、免疫のないさゆは困惑気味。




考え方は日本人的な絵里だけど、


そのリアクションはやっぱり日本人離れしてる。




あたしはもう慣れたし、

次はどんな反応をしてくれるのかと 逆に楽しんでるところがあるけど、



おとなしいさゆにはちょっと強烈だったかな?






「じゃあ ちょっと離島へ行ってくるわ。



またね、ダーリン♥」




そう言って、絵里は自分の席へ向かって行った。




『・・・って、ちょっと!



うちら男⁉』



「まあまあ、


ほら、言葉のアヤってやつよ💧」




あたしのワンテンポ遅れたツッコミに、さゆがなだめるようにフォローを入れた。








落ち着いたところで、ゆっくりと席に座る。




うーん、やっぱり明るくてポカポカで いい席だわ。



すぐ後ろにさゆがいるのも嬉しい。



そういえば、隣の席は誰だろう・・・?




さっきまで全然気に留めてなかったけど。

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