Prelude

第2話

「おめーの座るとこなんか ねーよ」




隣の席の男の子から突然投げつけられた言葉に、


あたしは思わずその場に立ちすくんだ。




背中には冷や汗が流れ、


体全体が硬直するのが自分でもわかる。





「あんた、この組じゃないでしょう⁉


赤ちゃん組の子は自分の部屋もわかんないの?



早く出なさいよ❗」




反対隣のマセた感じの女の子が そう言って


あたしの体を後ろへ押しやった。




小さな体は、 声も出せないまま


2、3歩後ろへよろめいた。




「ま、 どうしてもって言うなら、


この下なら入れてやらあ」




そう言いながら彼が指差したのは、


自分たちの机の下だ。




「早く来なさい❗」



女の子が立ち上がると、あたしの腕をつかんだ。




あたしの頭を無理やり下げさせ、机の下に押し込む。




二人はそのままあたしの席を占領するように座り、出口をふさいだ。





逃げ道を探そうと辺りを見回したけど


いくつものテーブルをくっつけて作った長方形の大きな机は


小さなあたしにはとても大きく感じられて…。




あたしはそこから動けず、ただ震えていた。






室内にいるはずの先生は何も言わず、


そのまま お遊戯の時間が始まってしまった。

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