遊戯
そんなことを言っていたアイドルを推していた元友達を隣にいるケイさんの顔を見て思い出した。
ケイ「なんか食べる?」
と、ケイさんは近場にあったお菓子詰め合わせの袋を取り、私に差し出してきた。
優愛「…じゃあ、いっこ。」
私は適当に取ったパリッとチョコがついている一口バームクーヘンを食べて横からずっと視線を合わそうとしてくるケイさんに咀嚼音が聞こえないようゆっくりと口を動かす。
ケイ「人見知り?」
優愛「ちょっと…。」
意味のない嘘をつく私を信じてくれるケイさんは携帯とTVを操作して約束通りサブスク限定のあの映画を見せてくれる。
そんな優しくて気まずい時間を刻々と過ごしていると、ケイさんは私が太ももの上に置いていた手を取って親指で撫で始めた。
ケイ「優愛の爪可愛い。」
と、どこかの女芸人さんが言っていたことを恥ずかしげもなく言うケイさんに私は一気に心惑わされる。
ケイ「優愛は俺がブスだったら帰ってた?」
そう言いながらケイさんはしれっと指を絡める恋人繋ぎをしてきた。
優愛「映画見る約束してたもん。帰らないよ。」
ケイ「おじさんだったら帰ってた?」
優愛「帰らないよ…。約束だもん。」
私がそう言うとケイさんはキュッと手を握り直した。
ケイ「優愛はいい子だね。可愛いし性格がいいってことは天使?」
と、ケイさんはいつのまにか近づけていた顔を私の肩に乗せ、唇が頬に触れてしまいそうな距離で温かい言葉と息をかけてくる。
優愛「私が天使だったらみんなは菩薩かな。」
ケイ「界隈違くない?」
私の適当な返しにケイさんは夏祭りの水槽の中でころころと漂うラメの入ったスーパーボールみたいに笑って私の肩に頭を預けた。
その自然過ぎる甘え上手を見習おうと今後出来るはずの彼氏のためにインプットしているとケイさんの鼻が私の首元にやってきてスンッと匂いを嗅がれる。
ケイ「優愛、すごくいい匂い。香水つけてる?」
そう言いながらケイさんは私の首元にそっと手を置き、唇を優しく這わして私の言葉を詰まらせる。
ケイ「…やっばい。勃っちゃった。」
と、ケイさんは私と恋人繋ぎしていた手を膨らんだスウェットパンツの上に置いた。
ケイ「天使な優愛と悪いことしたい。」
ケイさんは私の顔を若干無理矢理に自分の方へ向けて潤む目と少し火照った頬を見せてきた。
私はその悩殺顔に『はい』も『いいえ』も口に出せなくて頭を一度縦に振る。
すると、ケイさんは私の服を脱がせながら白波さんの家にあるベッドととても似ているフレームを使ったローベッドの上に私を連れてそっと枕の上に頭を落とした。
ケイ「可愛い…ぃ。優愛の顔食べたい。」
そう呟いたケイさんは私の頬に吸い付き、軽く歯を立てた。
それに驚いた私はピクッと体を動かし逃げるとケイさんは唇を頬から耳へ、耳から首筋へ這わせてあの2人よりも丁寧に私の体に触れて味わっていく。
これが私の初めてだったらどんなに幸せだったんだろう。
ふと、そう思うと私の唇は寂しさでチリチリと痺れ始めた。
優愛「ちゅー…したい。」
私はずっと唇同士を触れあわせてくれないケイさんに見下ろされながらお願いをすると、ケイさんは上半身を倒してキス一歩手前まで顔を近づけてきた。
ケイ「口開けて。」
優愛「…はい。」
私がケイさんに言われた通り口を開けると、そこにケイさんの少し肉付きのいい太い人差し指が飛び込んできてさらに広げられる。
ケイ「ベロ出して。」
優愛「ぁい…。」
ずっとケイさんに言いなりな私は入れられた人差し指に舌を乗せるように出すと、ケイさんの口から透明な甘い液体が出てきて流し込まれた。
ケイ「飲んで。」
私は小さく流れるTVの音に負けないよう喉を鳴らしながら飲むとケイさんはとても満足そうに笑顔を咲かせて私に初めてキスをしてくれた。
しかもそのキスはちゅっと挨拶するようなキスじゃなくて、私の存在が欲しくてたまらないと言うほどの貪るようなキスで私は名前の半分も知らない人の見える愛情をたくさん流し込まれて恋に落ちた。
ケイ「水いる?」
優愛「うん。」
私は初めて愛がある性行為というものをして心も体も満足しながらケイさんと私の体液をティッシュで拭き取っているとティッシュには薄く血が付いていた。
ケイ「…初めて?」
と、色を見たケイさんはとても心配そうな顔で聞いてきた。
優愛「ううん。」
ケイ「そっか。よかった。」
そう言ってケイさんは私に水を渡すと隣で寝転がりながら私の脚の付け根を優しく揉みしだく。
…まあ、これからか。
私は初めて人のことを全部知りたいと思ってしまったけれど、今日は次が生まれるように気持ちを飲み込んだ。
環流 虹向/愛、焦がれ
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