第4話
彼の名前は昼間嶺二というらしい。
専務より年下でどうもいけ好かない男性だ。
私がどうして、支部から移動になってしかも専務専属秘書になれたのかが不思議でならないらしい。
「もしかして、君専務とこれじゃないよね?」
小指を立てられて私は顔をあからめる。
「そんな、そんなこと」
私が慌てて否定すれば嶺二は笑い出した。
「冗談だよ? そんな関係じゃないことくらいわかるよ、むしろあの人結婚しているしね、俺も婚約者いるからお互い様だよね」
そう言って笑うその顔に少しドキッとしながら私は仕事の続きをするのだった。
しかし気になった。
政略結婚を持ちかけたのは専務のはずだ。
なのにもう既婚していた、だなんて……、、、。
でも、それを聞くのもはばかれた。
だから私は黙って仕事を続けることにしたのだった。
そして、専務が帰ってきたその日、彼は私を呼び出してはこう言ったのだ。
「悪い、海外でトラブルがあってな、しばらく帰れない」
その言葉に私は唖然とした。
「え? 私どうすれば?」
そう問いかければ彼が笑う。
「君なら大丈夫だよ、1人だってやって行けるさ」
そう言われて私は不安になった。
でも、彼はもう私の前から居なくなってしまっていたのだった。
1人で仕事をこなしてはいたものの、やっぱりきついものはあったのだ。
だから、つい弱音を吐きたくなってしまい、彼に電話する事にした。
「もしもし、あの」
『どうした? 何かあったか?』
「いえ、ただ寂しくて、その」
私がそう呟けば彼は電話越しに笑った。
『ならおいでよ』
そんな一言で私は彼の元へと行くことになるのだった。
そして、その日も彼の元へと行けば彼は私を見ては微笑んだ。
「1人でよく頑張ったな」
そんな言葉を言われれば嬉しくてつい涙がこぼれてしまう。
「ごめんなさい、私っ」
そう言って泣き出す私に彼は優しく頭を撫でてくれた。
その優しさが嬉しくて私は彼に抱きつけば、彼は私の頭を優しく撫でてくれたのだ。
それからというものの、私は彼の元へと通うようになったのだった。
そして、ある日のこと彼が私にあることを教えてくれたのだ。
「パパ活もうやめてうちに来る? もう政略結婚しているんだし」
そう言われて少し戸惑う、そして、すこう聞いた。
「既婚者なのでしょ? どうやって政略結婚するんですか?」
その言葉に彼が苦笑いする。
そして、話始める。
「バレてしまったか」
「当然でしょ」
私が怒れば苦笑される。
「君は何も分かっていないようだ」
その言葉に首を傾げる。
「どういう事ですか?」
「俺は式をあげたい、なんて言ったかな? 政略結婚はするしかし、既婚者だから、離婚する気はない、君は俺の秘書であり、俺のおもちゃといったところだ、なので今日はここに行ってもらうよ」
そう言って見せられたのは例のホテルだった。
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