今夜白馬の王子様が~パパ活女子のイケナイ関係~

リナ

第1話

1度ならいいだろう、初めはそんな軽いノリだった。

私が今の仕事が上手くいかず、友達に相談したらパパ活を紹介された。


試しにアプリに登録してみて反応を待つとなんと役員っと言う男性がホテルのみしないかと誘って来た。

すごく迷った末、行くことに決めた里穂は綺麗なスーツに身を包み夜の街に出ると待ち合わせの駅で待っていた。


「あの、ユイさんですか?」

そう聞いてくるこの男性はどこかで見たことがあった。

「はい、ユイです」

そう言いながら自然と笑顔を作る。

そして、そのままホテルに向かう事となるのでした。


入ってすぐ差し出されたのは赤ワインの45年物、かなり高そうに見えるそれは、私が当てで買っておいた安いビターチョコには合わないだろうと思っていたのだが、それでも食べてくれればと差し出してみる。

「あー、いいのに、いくらしたの?」

チョコのことだろうと思い戸惑いつつも、料金を口にする。

「安い」

彼の述べた第一声がそれなのだから本当に申し訳ない気持ちになった。


「えっと、大丈夫です、本当に安いですから」

ホテル代まで出してもらってチョコ代までなんてさすがにっと思い慌てて遠慮すれば

「いいのいいの、こういうものだからこれって、貰っておいて」

そう言われて倍の1万を渡される。

「ところで、ユイさんは普段ご職業は?」

その問いかけとともにコルクで抜かれる栓に戸惑えば彼がそのまま問いかける。


「僕は、ユーメリアコーポレーションの専務をしていてね、お金には困らないんだ」

そう言われて青ざめた。

「ユーメリア?」

咄嗟に出た言葉に彼は微笑む。

「有名なチョコ会社だから分かるかな?」

その問いかけに相打ちを打つのがやっとだった。

ユーメリアはチョコレートの制作、販売会社である。

そして、里穂はその支部の営業部に所属していた。

「ユーメリアコーポレーションの本社ですか?」

支部に専務なんて居ない。

つまり自然と本社の役員ということになる。

「今度、神奈川支部に視察に行くんだよな」

そう言われてさらに青ざめた。


バレてしまう。

「あ、あの」

そう言いながら戸惑った。

何を話そうと言うのか?

会ったばかりの人に、支部の社員なので、知らないふりをしてくれと言えるはずもない。

「もしもなのですが、私が支部の社員だったらどうしますか?」

その問いかけに沈黙が走る。


『どうしよう、聞くんじゃなかった』

その言葉と共に鬱向けば

「君が? ないだろう」

その一声で片付けられてしまった。

無いというからには、気づかない可能性もある。

「わかりました、あるわけないですよね」

そう言いながら苦笑いしながら食べていく。

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