第36話

アキは手の平を上に向け、小招いた。

ユウヘイはボクシングの構えをとりながらトントンと前へ進みパンチを繰り出す。

かわされるのは想定内なので、2撃目も続けて繰り出す。

その手を掴まれて下げられ足を払われよろめいた。

もう片方の足も払われ尻餅を付いた。所謂柔道の足払いだ。

「はい負けー」

アキはニシシと笑っている。


この――!!


すぐさま立ち上がり大振りのパンチをするとアキは上半身を折った。

つんのめる形になったユウヘイの太股と肩を掴むと地面に投げる。

「ッ!!」

背中を痛がってる間もなく、ユウヘイは転がって逃げた。

コンクリートの砕ける音がした。アキのパワーを込めたパンチは地面を抉っていた。

「上出来」

アキはまた笑った。

完全に遊ばれていた。

遊びの中に殺気がある。


チキショー……


立ち上がるのを待ち、アキは指を弾いた。

瞬時に避けたが、頬を掠めた。

「焦弾。スコーチショットっていうんだ…当たった物を焦がす弾丸」


スコーチショット…


傷口に触れると刺すように痛んだが血は出ていなかった。

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