第59話
軽く涙を拭う。
「亀島」
「はい?」
「ダンスできるんだよな?」
「ちょっとは…。踊るんですか?」
亀島が薄く愛想笑いを浮かべた。
苦手か?
このくらいのスローテンポならできるだろ
「悪いか?リードしろよな」
亀島は少し困ったように笑んだ。
「…はい」
私に真っすぐ向くと深く礼をした。
手を出して「どうぞ姫」と言った。
姫って可愛さじゃないし
自嘲的に笑って亀島の手に触れた。
軽く手を触れ合い、左右に揺れるだけ。
あの爆発だから、可能性は低いかもしれないけれど…
「マサ、死ぬ前の一服、ゆっくりできたかな――」
それに亀島は答えなかった。
またも私はそのときの亀島の表情を見ていなかった。
私は俯いて泣くのを堪えていたから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。