第56話

電源を入れ、レコードを取り替える。針のボタンを押すとレコードが回り、針がゆっくりと動いた。


 Siii――…

プツ……


ノイズのあと、曲が流れだした。

先輩は煙草をくわえた。火もつける。

吸う仕草はマサさんと似ていた。しかも銘柄もマサさんと同じだ。

「ブルース?」

「シャンソン…かな?」

先輩は咳き込んだ。灰皿に煙草を押しつけて消した。


「亀島」

「はい?」

「ダンスできるんだよな?」

「ちょっとは…。踊るんですか?」


苦手で単純なステップしか踏めない


「悪いか?リードしろよな」

「…はい」

僕は仰々しく頭を下げると手を出した。

「どうぞ姫」

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