第37話

しまった!!


私は調子に乗りすぎていた自分を責めた。

「…悪い――」

「いえ。みさとで行きましょう」

見つめる亀島は笑顔だ。

「んー?なんだー?」

マサが頭を掻く。

「僕、昔よく名前でいじめられて…。でも、拘ってても仕方ないですし」

くわえ煙草で頷きながら「安心しろ。この世界にゃ、そんな奴いない」

マサは言う。

こういう所は経験値ではマサに適わない。

言葉に説得力がある。

「でも、いやなら、自分で決めればいい」

「…いえ。本当に、みさとでいいです」

「そうか?」

マサは灰皿に煙草を消し、手を出した。

「ならば、改めてよろしくだな。みさと」

「はい。よろしくお願いします」


「なぜだ?同級の友人もいるだろ?」

「先輩は僕を『議員の息子』としてではなく、1個人として接してくれたからです」

私の問いにあっさりと答える。

「あれだ…差別とか、嫌いなんだよ…」


私にとっては普通の行いでも、

亀島には特別だった。

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