第32話

先輩は一つの部屋のドアを開けた。

薄汚れた家財道具たちが無機質に僕を見た。


……なんか、ソファとかそのままだったり……しないよね?


「ここ休憩室だったらしい。ソファとか前のままだけど」


予想的中ー!?はっきり言って不気味すぎ!

「そうですか~」

僕は動揺を隠すようにソファに座った。

「家出て何してたんだ?自分の死を知らなかったんだろ?」

「世界を旅してました。ヒッチハイクで」

僕は親指を立てて腕を上下に揺らした。

「正確には段ボールに行き先書いてこう……」

段ボールを見せる仕草をしてみせる。

「おいマサ、亀島の死は報道されてないぞ!」

先輩がマサさんを指差して言う。

「あ?」

マサさんは煙草をかなり短く吸っていた。

「天下のマサも知らなかったんだろ?」

マサさんは先輩の言葉に数秒止まっていた。ぽかんと口を開けている。

「アッチィ!!あーそうだよなぁ!亀島の息子が死んだなんて情報聞いてねぇ」

マサさんは落とした煙草を足で踏み潰しながら白衣をバサバサとほろった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る