第24話

哉芽は窓の外を見ていた。雨は上がっている。

茉白は大丈夫だっただろうか。燈馬に貰った冊子に書いてあった。


(身体的に極度に疲弊したり、精神的ストレスが極限に達すると、クラッシュが起きる。身体が動かなくなり寝たきりのような状態が長く続く。痛みも強くなり、副作用のある強い薬や精神安定の作用がある薬を使う事になり、薬への依存や幻覚症状を引き起こす危険がある)


燈馬が恐れているのは、茉白がクラッシュを起こすこと。哉芽がその引き金になってしまったのではないか。


「兄さん、大丈夫?紅茶を飲んで身体を温めて。ジンジャーシロップを入れておいたから。」


優芽の優しい声に振り向いた哉芽は切なそうに微笑んだ。可愛い妹。もし優芽が茉白と同じ病気になったら、耐えられるだろうか。


「優芽ありがとう。大丈夫だよ。心配かけたね。優芽にあんな姿見せたくなかったな。」


優芽は嬉しそうに笑った。


「私は兄さんの初めてを見れて得した気分。もっと見せて。私は嬉しい。」

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