中学時代、女子から話しかけられた!

崔 梨遙(再)

1話完結:1500字

 僕は小学校の5年生くらいから、自分から女子に話しかけることは無くなった。理由は簡単、僕自身も同級生も、女子を意識するようになったからだ。女子と話していると、他の誰かが冷やかす。冷やかされるのが、たまらなく恥ずかしい。だが、冷やかす奴等は、内心では“羨ましい”と思っていることを僕は知っていた。みんな、女子に興味があるのに、無理して強気になっていたのだ。


 だが、小学校の頃はまだ良かった。時々、女子の方から話しかけてくれたからだ。流石に、話しかけられたら無視するわけにはいかない。小学校の頃、僕は良くも悪くも目立っていた。僕は賑やかな奴だった(おもしろい奴だったと書きたいが、それは書けない。おもしろくはなかったと思う。まあ、“天然キャラ”でおもしろがられることはあったが)。



 そして迎えた中学時代! 僕はとうとう女子と話すことは無くなった。女子から話しかけてくることさえ無くなってしまったのだ。僕は女子にめちゃくちゃ興味があった。ところが、僕は、その頃には“女子と何を話したらいいかわからない病”にかかっ

ていた。


 ただ、学級員をやっていたので、副委員長の女子とは喋る機会があったはずだ。しかし! 業務連絡だけで終わってしまう! 雑談の1つも出来ない僕だった。生徒会でも同じ! 生徒会役員の女子とも業務連絡だけ! 文芸部の部長になり後輩女子が入部してきた。だめだ、話したくねー! 話したいと思わねー!


 そんな、“女子と仲良くなるのは高校から!”と諦めていた僕が、或る日、珍しく女子から話しかけられた。それは放課後、僕と男子1名、女子数名が残っていた時のことだった。僕は男子の同級生に勉強を教えていたのだ。


 で、その女子生徒が言ったのはこうだった。


「崔君、近親相姦してる?」

「なんでやねん!」


 流石に僕も関西人、スグに“なんでやねん!”は口から出て来るのだと知った。それにしても、この女子、今、なんて言った?


「なんで、僕が近親相姦してることになるんや?」

「雑誌に書いてあったから」

「なんて? なんて書いてあったん?」

「お母さんとHしてる男の子の体験談」

「わかった、雑誌に書いてあった、OK! わかった! でも、なんで僕なん?」

「崔君のお母さん、美人やから、そういうこともあるかなぁと思って」

「自分の母親をそういう目で見たこと無いから、自分の母親が美人かどうかもわからへんわ! でも、お母さんが美人な生徒って他にもおるやろ? なんで僕なん?」

「いや、なんとなく」

「なんとなくっていうのがおかしいやんか、もしかして、僕って女子から変態やと思われてるの?」

「それは無いから安心して」

「ほんま、勘弁してくれ、ビックリし過ぎて汗が出たわ」

「でも、崔君は女子とも喋らへんから、同級生の女子に興味が無いのかな? と思ったことはあるで」

「言うとくけど、僕はノーマルやからな。ちゃんと好きな女子もおるし」

「崔君、好きな子いるん? 誰? 誰?」

「言わへんわ。それより、僕が近親相姦をしていないことだけはおぼえて帰ってや」

「わかった」

「ほんま、驚いたわ。珍しく女子から話しかけられたと思ったら、近親相姦してるか? って、ほんまに最悪やわ」



 その時、僕は、“高校に入ったら絶対にスグに恋人を作ろう”と思った。このままではいけないという危機意識が芽生えたのだ。ちゃんと、歳相応の女子に興味があると印象づけないといけない。だが、僕の暗黒時代はまだまだ続くのだった。



 いきなり聞かれたらビックリしますよ。


「あなた、近親相姦してる?」







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中学時代、女子から話しかけられた! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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