第44話

新藤 裕 side






―――――――――――――


――――――……





「…――市石さん」


賑わう倉庫内で少し経った頃、俺はグラスを持ち憧れの人に声を掛けた。


俺の声にその人は振り返る


「お、新藤」


「…タバコ吸ってくる」


近くにいた谷口さんが気を利かせて席を外してくれた。


「まあ座れよ」


谷口さんに頭を下げると市石さんが隣を目配せする


「失礼します」


一礼して隣に腰掛けた。


「…ありがとな、俺の為に開いてくれて」


そう言って賑わう倉庫内を見据える


その顔は優しい


「これくらいやらせてください」


大事な先代であり、2年間の意識不明からやっと目が覚めたんだ。これくらいじゃ足りないくらい嬉しい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る