第32話

病室に入ると、雪は真っ先に陽の肩に腕を回してイジりだした。



「ったく、やっと退院か。遅いんだよ」


「…わりい。」


「帰ったら覚えとけよ?」


「ああ、」


皆笑ってる姿を見てやっといつもの雰囲気が戻った気がした。


久しぶりだな



「ちょうどいいところに来た。お前らワゴン持って来い」



「ワゴン?なんでだよ」


俺の言葉に雪は眉間に皺を寄せる。




「これが運べねえからだ」


顎で見舞いの品を指すと、雪は「あぁ~」と納得した。




「要らねーよ。こんなん一度で終わる」


そう言うと、扉に顔を向け「おい、早く入れ」と言葉を放った。


「誰か来てるのか、?」



陽の言葉に雪はニヤリと笑う。

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