第30話

そんな姿に笑みをこぼし、扉から離れて陽の隣に向かった。



「……アイツ等、お前が目を覚ましたのが相当嬉しかったんだよ」


目の前の“あるもの”に目を向け、口角を上げる。


俺達の目の前にある、“あるもの”は―──見舞いの品だ。


陽が眠っていた時よりも倍以上の見舞いの品。


皆毎日見舞いを持って病室を訪れる。


雑誌、ゲーム、食い物……


その中でも一際目立つ色紙という名の看板。


どこで入手したのか不明なばかデカい白の看板に皆の言葉が書かれてある。


その看板を持ってきた時は病院の人にこっぴどく怒られてたなあ




バカな奴らだが皆、余程嬉しかったんだ。


視線を陽に移す。



「…ったく、アイツ等」


陽も呆れながら笑っていた。


相当嬉しいよな。

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