知らない話
第29話
谷口 慎弥side
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―――――――……
「…―――もういいのか」
病院特有の匂いがする空間に俺の声が響く。
「ああ、平気だ」
陽が鞄に着替えを詰め込む姿を病室の扉にもたれ掛かりその姿を傍観する。
今日は陽が退院する日だ。
3月に目を覚ました陽はたったの2ヶ月で体力を戻した。
目が覚めた翌日に多くの奴等が訪れ、皆、陽の姿を確認した途端心の底から喜んだ。
「……それにしてもすげーな、これ」
数ヶ月前のことを思い出してると陽の声で我に返る。
顔を向けると、陽は作業の手を止め俺に背を向け“あるもの”を見ていた。
「どうやって持って帰るんだよ」
俺に背を向けて表情はわからねえが声音に笑みが含まれているのがわかる。
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