第18話

『話、あるんでしょ』


谷口の言葉に答えず、話を切り出した。


谷口は私から目を逸らし、宙を見る。


その姿を視界に入れながらカップを掴み、口をつけた。



冷たくなったコーヒーが私の喉を通り過ぎていく。



「…ああ、まあな」



「――お待たせいたしました。ブラックコーヒーです」


すぐコーヒーが来た。



だが、彼は手をつけない。



変わらず宙を見ていた。




『何』


カチャリ


カップをソーサーに置き、彼の言葉を静かに待った。





数秒の沈黙のあと、谷口は私を見据え静かに放った。

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