第64話

私の目の前にいる人はスーツを着た20代前半の男。


少し暗めの茶髪をワックスで無造作に仕上げ、くっきりとした二重の目に筋の通った高い鼻そして色気のある唇。



…俗にいうイケメンか、


蒼龍の幹部らと負けないくらいの容姿かも



そんなどうでもいいことは置いとく。



コイツ…誰だ?



彼をジッと見つめていると、ニコッと笑いかけられた。




「俺、谷口慎弥(タニグチシンヤ)。昨日から教育実習で3週間、君のいるクラスで一緒に過ごすんだ。よろしく」


笑顔でそう言った。



…昨日から?


教室に行ってないから知らなかったな。



男はまだずっと笑ってる…偽物の笑顔で



ああ、もう我慢出来ない。




『ねえ。アンタただの実習生じゃないでしょ。それとさ、その笑顔やめて。ムカつく』



私の言葉を聞いて目を見開いた。


でも、すぐに無表情になる。



その表情を見て一瞬ゾクッとした。



だって彼の目は…




とても冷たかったから

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