第52話

――――ギィィッ




 屋上の重い扉が開かれ、足を踏み入れる。




 …ずっと思っていたんだけど、




『ねぇそろそろ…放してくれない?』





 私がそう言うと、牧野竜雅は私の腕を見て「あ、ごめんね」と言って放した。





 そして彼等と少し距離を取る。





『で。話って何?私、昨日言ったよね?“もぉ話すこと―――…「あぁ。言った」』





 私の言葉を遮った新藤裕。





 じゃぁ、私に関わるなよ。





「……でも、俺は…俺達はお前と関わりたいと思ってる」





 私の考えを読んだのか、新藤裕がそう言ってきた。





 …私に関わりたい?





『何で私に関わりたいの?』




 私と関わっても何も良いことがない。





 私に関わったら皆、不幸になる。





 それにもぉ…






 大切なものなんてつくれない。






 いや、つくらないって決めたんだ。





 何も要らないし、信じない。





 だって……






 もぉ……






 傷つくのは嫌だから―――――

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