第6話

ガシッ


振り上げた拳は後ろの奴に掴(ツカ)まれた。



「やめろ」


その声に振り返る。


そこには長身の金髪がいた。


顔は夜の路地裏では暗くてよく見えない。



『放せ』


腕を振った。


だが振りほどこうとしても力が強く離れない。



「お前は何の為に喧嘩してる」


…ピクッ



「…何の為だ」



『別に。何の為でもねえよ』



何の為でもない。ただの暇潰しだ。



「楽しいのか?」



…は?


何だコイツ頭イカれてるだろ?

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