第32話

『大我たちも食べる?』


「…一枚だけもらうわ」


そう言って身体を起こし、圭が綺麗に盛り付けてくれた焼菓子のなかからナッツの入ったチョコクッキーをつまんだ。



「お、意外といけるじゃねえか」


『でしょ?ここのケーキも絶品なんだよ』


「俺もいただくよ」


壮輔もクッキーに手を伸ばしたので竜が来るまでみんなでお茶をすることにした。


「そういや、おまえの制服姿はじめてみた」


気に入ったのかクッキーをぽりぽり食べながら私の制服をみる。


あ…そういえば初めてかも。


昨年きょねんまで中学生だったから制服だと警察に補導される可能性もあるし…って今も同じか。



「似合うぞ」


「すっごいかわいいよ!」


「孫にも衣装だな」


『……』


……大我、もしかしてさっきの仕返し?


イラッとしたから大我が取ろうとしたクッキーを横取りした。


「あ」


ふたりでお菓子の取り合いをしてると圭も参戦してきて壮輔は何事もないようにコーヒーを飲んでいる。

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