第56話

「まぁ、ね…」


「でもさ、聞いてる話だと0じゃないってことは可能性あるって事でしょ?なんで紬を振る必要あったのかな?」


昇降口で外履きと中履きを変えながら、まつりは疑問に思っていた事を口にする。


「だって応える気がないなら辛辣に速攻振るでしょ?

何かあるんだろうね」


「そうだよね…」


紬も気にはなっていたのはそこだった。

0%じゃないって事。


「もしかして、柊くんも別に好きな人いるとか」


「でもそうしたら好きな人いるからって振りそうじゃない?そうだったら紬にはちゃんと言うと思うよ」


「確かに」


益々千秋の事がわからなくなって、頭を抱えながら教室に入る。


椅子に座って窓の外を見る。


「ちゃんと柊くんに聞いたら?」


「今日は撮影あるからって言ってたから明日…聞けるかな」


会えて嬉しいはずなのに、ズンっと重い気持ちにもなる。

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