第24話

「柊くんは、好きな人いないんですか?」


紬が聞きたくて、聞けなかった質問。

もしいるならば、自分に構っていないでその恋を大事にしてほしいと思ったからだ。

優しくて、素敵な千秋に。


千秋は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつも通り平然とした顔で「いないよ」と答えて歩き出す。


ただ紬はその一瞬の顔を見逃さなかったが、これ以上の追求をしてはダメな気がして「そっか」と答えて話を終わらせる。


すると、今度は千秋から話しかける。


「あのさ、さっきの4人で出かける話なんだけど


俺は行くよ」


「えっ!?いいですよ、そこまでしてくれなくても」


「だって、俺が行かなかったら2人と一緒なの厳しいでしょ?メンタル的に」


「でも…」


「大丈夫だよ、俺が一緒にいるから」


優しく笑う千秋に不覚にもドキッとしてしまった紬。すぐに我に返って首を横に振り自制する。


「それじゃあお言葉に甘えます…」


「甘えられます」

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