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「これで終わか…」



「なんで、こんな事…」


親父は遺言状と書かれた用紙を俺達に見せた。


そこには、俺と姉様の名前はあるが、兄様の名前はどこを見てもなく、戸籍上からも兄様は俺達とは一緒ではなくなったから…


「俺には資格も権利もないので、これで…」


「本当に良いのか?いつ仕事がなくなるかもわからない職で…老後までの資金は…」


直ぐ様兄様は、立ち上がり靴を履き


「屋敷にある俺の荷物は処分して下さい」


それだけ言い放ち出て行ってしまった。


「親父!何で?良いのかよ…こんな事して…」


「私の意志じゃない。アイツの意志だ。そうしてくれと、屋敷を出る時に頼まれたんだ…やっと日本へ帰って来たと思ったら、このざまだ…」


親父は兄様の戯言だと聞く耳持たなかったんだ。けれど、日本へと帰ってくる前に催促の電話があったと…


何もかも俺達から逃げる気なの?


本当にもう、俺達とは関わりたくないの?


何で…


何でだよ!


吐き出せない気持ちは、握りしめた拳を床へと叩きつける他なかった。

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