101

夜部屋のドアをノックする音とゆっくりと開かれたドアに目をやる。


「今良いか?」


兄様の事だろうと思い、既に部屋へと入って来ているヤツに目を向けたまま、頷き返せば


「あのさ…返事聞きに来たんだけど…」


いつもと違うテンションの低さと、予想していなかった言葉に、一瞬にして心臓が飛び出して来るのではないかという状態に陥り、言葉を発する事も出来ずに、ただ視線を合わせているだけの状態が、ほんの数秒続いたが、それに耐えられなくなったのは、私ではなくアイツだ。


「…ごめん、やっぱりなかった事に」


「ダメ!」


とっさに出た言葉はそんな意味を持たないむしろ否定するような言葉で…


「えっ?」


「あっ、違う…そうじゃなくて…付き合うのは…」


「……」


「兄様が帰って来るまで待ってて……」


自然に溢れた笑みに目の前のアイツは自身の髪をぐしゃぐしゃしながら、何度も頷いて


「よっしゃー、兄様ぜってー見つけてやっからー!」



そんな二人のやり取りが行われている一方で…








「ひょん…僕達やっぱり…」


「うん。そうだね、そうしよう…」


二人が既に決断を下していた事を俺達は、まだしらなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る